上野千鶴子先生の講話からその1
2019/05/10
先週の研修会で上野千鶴子先生の話をシェアします。^
^産まない・産めない- 少子化時代の出産・育児支援-」社会学者 上野千鶴子先生
1960年代は、親の財産が有ってもなくてもほぼ全ての男が結婚出来る時代だった。
アレは、言ってみれば最大瞬間風速の様な物。そして、それ以前は、1人の女性が5人産んでいたが、わずか10年で夫婦2人に子供が2人という雛形の様な近代家族が出来た。でも現在は、1人でやっとよ!の状態。
3人産んだらお祝い金など有る自治体もあるが、お金につられて産む人はいない。生まれた後の子供を大事にして人口減少を前提としたシステムを作る事が大事。2人目の壁は厚い。それは、経済的な問題だったり、家の広さだったりするが、最も大きいのは、1人目を産んだ時の夫の協力の有無。
そもそも何故若者が結婚しないか?
答え 損だから。
男は、金の自由を失い、女は時間の自由を失うと思っている。でもこれは、保守的な考え方でこの考え方のハードルが下がれば、子供は生まれる。(例えば、男は、妻子を養わなければならない!女は、家事育児をして当然)
どんな女性が子供を産むのか?正規雇用の女性の方が子供を産む率がたかい。いい人いないわね!症候群の女性は、ある時40代となっている。
早めに結婚している女性は、夫に対する理想が低く、同い年が多く、正規雇用。なので、少子化対策としては、女性の正規雇用を進めていかなければならないのに時代は逆行している。
日本型の経営は、1終身雇用 2年功序列 3企業内組合でこれは、性差別を助長する。
何故なら長時間労働だけが出世する仕組みで、女を排除している。これは巨大な無駄遣い。
今の家族は、言ってみれば積みすぎた方舟の様なもの。
背負いきれない重荷を背負っている。
妻の就労の有無が家計の水準を決める。女が抱えている仕事を何処かに外注する必要がある。(保育であったり、家事であったり)
なので、世界で出生率の高い国は、国で保育園を作り男も家事と育児に参加。(長時間労働はしない)
お父さんが大黒柱型の日本、韓国、イタリア、スペインは低い。
介護は、介護保険があるが、育児保険は無い。最も支援の厚い要介護5は、寝たきり、オムツ、食事の全介助だが、これはイコール新生児だ。
ケアワーカーと呼ばれる人達の平均月収は、平均よりも月に10万低いと言われているが、保育士の給料は、これよりなお低い。ケアの値段は、何故低いのか?それは、オッサン達の考えだから。これは、男の中にある侮蔑だけでなく、女の中にある自己卑下もある。女である事に誇りを持てない社会があるが、歴史は人災であり、オッサンを送り出しているのは、私達である。
という、上野先生のしびれる講座を聞いてきました。うんうんなるほどそうかと思ったり、やっぱりそうかと思ったり、なんだかモヤモヤしていたけどこのモヤモヤは、こーゆーわけだったんだねと思ったりしました。
1つ思ったのは、介護は介護保険があるが育児保険がないと言うところです。私は助産師なので、育児保険ではなく妊婦保険が欲しい。産んでからではなく、妊娠したら保険が作動するシステムがあるといいなと思うのです。
今千葉県では、14回の公費補助がありますが、その中で助産院では使えない券があります。なので助産師にしか使えない券があるといいなと思うのです。例えば近くの助産院とか助産師外来とか助産師に相談やケアを受ける時の券です。妊娠中に3回ぐらい助産師と話をしたりケアを受けたりマッサージを受けたりする時間が3回ぐらいあって、そして、産んだら1ヶ月検診迄の間に2回のケア券。あったらいいなぁ。
先日、こんな方がおられました。会社で助産院で産んだ方から妊娠中にケアを受けるといいよーと勧められ、安定期に入った時から月に一回のケアをズッと受けられました。(モチロン病院で健診を受け、仕事も続けて)
聞けば、1人目のときは、微弱陣痛で時間がかかり、出血も多めで、混合栄養だったとか。途中、近所の助産院に母乳ケアも受けたが、母乳分泌は増加せず。
今回は、産後母乳で育てたいとお見えになりましたが、まずは、出血しない体を作りましょうと通って頂きました。予定日前のお産となったので、多分5〜6回お越しになったと思います。
産まれるちょっと前に、明け方産まれるといいよねー。その分赤ちゃんと居られる時間が長くなるし、もしかして、台風来てるし満月近いし今週末産まれるかも!と言っていたら、本当に生まれて。
今回は、痛みで目が覚めたのが1時、着いたのが5時生まれたのが6時前というスムーズなながれ。出血も、少なくはないけれど、前回程では無かったとの事。
産後3日目の夜、5分会いに行き、赤ちゃんとお母さんのお顔を拝見して、無事元気な姿ををみて安心しました。上手く吸わせられないとの事でしたが、夜こそ2時間おきに吸わせて、昼間仮眠をしっかり取ると良いかも!とだけ言って時間に追われる様に帰ってしまったのですが、1ヶ月検診前に保健師さんに体重を測ってもらった所何と退院時から38g/日も増えていたとか。(一般的には、30g/日増えればOK)
どこで産もうと
誰が産もうと
いつ産もうと、
暖かい眼差しとケアを受ける事、支えてもらえる事、大切にしてもらう事、そんな体験があれば、安心感が違うと思う。そしてその人のバックグラウンドをよく聞いて、その人に合ったアドバイス等があると、より妊婦さんが健康になり、健康になった妊婦さんが自分の力で赤ちゃんを産み育てていくことができるようになるのではないかと思うのです。
誰かに支えられているということがその人の判断を助ける様になり、毎日の決断の積み重ねがさらに良い方向に進んで行く。それが、世界の平和に繋がると信じています。^_^