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千葉県助産師会 会報誌「大潮」39号

2023/04/18

先のブログでもお伝えしました、千葉県助産師会の大潮39号の内容をこちらにも掲載いたします。

大潮39号には写真も掲載されており、研修会の様子も良く分かるので、併せてご覧いただけると幸いです。

なお、次回の助産所部会研修会は2023年5月23日に開催されます。

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助産所部会会長 小 柴 和 子 9 地区 キミツナカノ助産院 

 8 月 8 日(月)助産所部会主催の研修会を千葉市生涯学習センターにて開催しました。コロナ禍でもあった為、人数制限や消毒・検温など感染症対策を徹底した上での対面型研修会でした。
 午前は、『骨盤ケア』で、あびこ助産院院長 米丸充咲氏が担当し、参加者 6 名(会員 6 名)。内容は、助産師が行う骨盤ケアの基礎編として、最初にトコちゃんベルト(骨盤ベルト)の締め方、それを代用するさらしを使った研修をしました。これは参加者から「今更だけど、正しい付け方をもう一度知りたい」というリアルな声が上がったからです。少人数での開催は、参加者の一つ一つの疑問に沿った研修ができるのが強みです。その後、骨盤ケアの効果、開始時期、体の見方、骨盤調整の仕方、妊娠中のマイナートラブルの予防や改善に役立つ説明と演習も行いました。受講後の感想として、「具体的な手の力加減や巻き方のアドバイスをもらえた」「乳房ケアにも対応できるとわかったので、取り入れていきたい」とありました。

 午後は『助産院で行われているフリースタイル出産』についてキミツナカノ助産院院長、テルミー療術師の小柴が担当し、参加者は 7 名(会員 5 名、非会員 2 名)でした。産婦さんを固定しないフリースタイル分娩は産婦さんの動きに合わせて介助者が動くママファーストでもあります。フリースタイル分娩では、自然と四つ這いになる方が多く、四つ這いのときの心音聴取のコツ、安全確実に赤ちゃんをキャッチするコツ、会陰を伸ばすコツ、また、馴染みのない体位の時に、どのように分娩清潔野を作るか、サポートに入る外回り助産師がどのように動いたらメイン助産師が安全に安心して分娩介助が行えるか、そして何より心音の健常性を保つにはどうしたら良いかをお伝えしました。手作り穴あきズボンを履き、新生児の人形モデルを使って実際に分娩介助を解説付きの劇の様に行いました。受講後の感想には、「リラックスできる環境の重要性を再認識した」また「病院内であっても工夫出来る所があるという気づきがあった」とありました。

 今回、“直接会う”という人と人との交流の中で、お互いに学び合い、知識や技術や意識の高い仲間と交流するチャンスに恵まれました。かつて私達は、先人達から直接指導してもらい、直接の接触を通じて、アイデアや情報を交換する事が出来ました。アイデアは、心理的安全性があり(ちょうど前半は身体を動かす『骨盤ケア』の実践があり、身体がほぐれていた)自由な雑談の中から、思いがけず生まれてくる事をよく感じます。~文化がヒトを進化させた ジョセフ・ヘンリック 今西康子訳より~ では、『集団の規模が縮小したり、社会的な結びつきが失われたりすると、世代を経るうちに、それまで受け継がれてきた智恵がどんどん失われていく。イノベーションは、自由に意見を交わし、遠慮なく反論し、相互に学び合って、協力関係を築き、外部の者も信頼して、試行錯誤を重ねていく。その様な能力と意欲から生まれる。多数の頭脳が自由に情報をやり取りできる大きなネットワークがイノベーションを起こす。』とあります。

 今現在、千葉県内でお産を扱う助産院は、11 件(出張 2 件を含む)まで減少してしまいました。また、今年の 6月末時点の出生数は 38 万 4942 人と発表がありましたので、恐らく年間 80 万人にはとどかないでしょう。1980年(157 万 6889 人)と比べるとほぼ半減、2015 年(100 万 5677 人)と比べてもたった 7 年で 2 割も減少しそうです。貴重な妊婦さんと赤ちゃんを妊娠中から大切に育て、守ることが急務です。妊婦ケアの重要性は増し、妊娠中からの継続した関わりと分娩時の手厚いサポートがカギとなるでしょう。産後ケアだけではなく助産師による妊婦ケアも公費で賄えるようになるとより安全なお産が増えるのではないでしょうか。それぞれ今いる立場で、出来ることをサポートしていく。これさえすればと言う必殺技ではなく、体操やフィギュアスケートの加点方式の様に 1 点 1 点積み上げていく様なイメージです。今回の研修会を立案するに当たって、どうしても開催したいと思った理由があります。それは、先輩達から受け継いだもの、受け継いで自分なりに試行錯誤や改良加えたものを「次の世代に渡しておきたい」と仲間と検討する中で閃いたからです。又、フリースタイル出産の心得は、災害の時にも役立つお産の技術と確信しています。女性と子どもに優しい自然なお産が増えることを願って止みません。

 私の願いは、“誰が産もうと、いつ産もうと、どこで産もうと、暖かいケアとまなざしの中、安全で楽で豊かなお産となること”です。助産師が集まって知恵を出し合う。アイデアを出し合う。それが渦になって流れができると、母子のケアと豊かな親子関係につながると信じています。豊かなお産を体験した母子達は、次の世代にまた伝えていってくれるでしょう。来年度も皆様とお会いできるよう妊娠中の妊婦ケアの研修会を計画中です。私達はこれからも先輩達から受け取った助産の知恵と技術と文化を伝えていきます。

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